Traffic wardenは頑固
イギリスの町を歩いていると、昼間に必ず見かける人たちがいる。黒の制服を着て帽子を被り、その帽子の鍔の上の辺りには縞々模様がついている。一見、警察のようにみえるが、彼らは決して泥棒や強盗事件の現場には現れない。
そう、彼らこそ”Traffic warden”である。いわゆる、路中駐車の取り締まりの切符を切る人たちであるが、とにかく職務に忠実で決して規制を破らないのが特徴である。そういう響きにすれば、かっこよく聞こえるが、私が思うに、おそらく点数制になっていてノルマ以上の成績がそのまま月給に響いてくるのであろう。
そうでなければ、あのイギリス人がそこまで細かいことに気にするとは考えられないのである。さて、どこまで彼らが細かく人間味がないのか説明しよう。
証言者A)ある日、車を道路脇の駐車場に停めようとしたのだが、その前の2台が互いにぎりぎりに停めていたため、出る際に大変だろう思い、あえて少しスペースを空けて駐車しておいた。その場所は道路に駐車 スペースが書かれていたが、気持ちはみ出してしまったという。
さて、買い物から帰ってくると、”Trafficwarden”が早速切符を切っていたので、彼に状況を説明すると、「切ってしまったので文句があればここに連絡してくれ」と電話番号だけ渡され、彼は消えていった。
証言者B)ある日、車を道路脇の駐車場に停めて、近くにある駐車切符を買って車のフロントガラスに置いておいた。そして、買い物から帰ってくると、”Traffic warden”が早速切符を切っていたので、彼になぜ違反なのか尋ねると、「君の切符は反対車線の路上駐車専用の切符だ」とあっさり答えて切符を切って、「切ってしまったので文句があればここに連絡してくれ」と電話番号だけ渡され、彼は消えていった。
証言者C)ある日、車を道路脇の駐車場に停めて、近くにある駐車切符を買ったのだが、おつりで出てくるはずの2ポンドが返ってこない。近くにいた”Traffic warden”に事情を説明すると、「文句があればここに連絡してくれ」と電話番号だけ渡され、彼は消えていった。
さて、この3つの証言のうち、誰のものが覆ったのでしょう。日本ならば、行列のできる相談事務所みたく、アドバイスをもらえるのであろうが、ここイギリスはここのルールがある。この国は、文句があれば電話で問い合わせるよりも、手紙のほうが効果的でそれが普通とされている。そのため、この3証言者も早速手紙を書き、向こうの判断を待つことにした。数日後、3人のもとに手紙が届いたのだが、Cさんのみ2ポンドのチェックが返ってきて、他の2人には何日までに40ポンドの罰金を支払うようにと通達があった。これを破った場合、つまり支払わなかった場合は1週間ごとに値段が倍になっていく。だから、素直に支払った方が利口なのかもしれない。勝利をおさめたCさんであったが、何か満足な様子ではなかった。なぜなら、その2ポンド(日本円にして400円)ばかりを銀行の窓口で入金するのが恥ずかしいというのだ。確かに、それはいえるかもしれない。ただでさえ、行列ができる銀行の窓口で時間をかけて、さらにたった400円というのは随分お粗末な話である。とにかく、”Traffic warden”は融通がきかないのである。
