結婚にまつわるエピソード
今年は僕の周りで結婚ラッシュといってよい年である。僕のもとへ次々と結婚関係の催しに招待が迷い込んでくる。日本でもこの5月に、大学時代の同期のアメフト部マネジャーが結婚式を挙げた。そして、同部の大の親友が11月に挙式を挙げることになっている。
さて、ここイギリスでも同じ会社で働いている人が、ポーランドの男性と結婚をした。結婚式には出なかったが、ポーランドレストランのバーで開かれたパーティーには出席した。実の所、このポーリッシュの新郎に会うのはこの時が初めてではないのである。
以前に、一度お世話になった経験をしているのであった。ある晩、会社の人達がパブで一杯やろうという事で僕もついていったのだが、運良く(?)どんどんお酒をおごっていただき、最終的には案の定べろんべろんになってしまった。(とはいっても意識はあったのだが...)そこへ、その新郎になる彼が新婦となる彼女を迎えに来た際、気の毒に思ったのであろう、同じ方面だからというわけで泥酔の僕と僕の自転車もろとも車のトランクに入れて送ってくれたのであった。送ってもらったのは大変有り難いのだが、車が狭いとはいえ、まさかトランクの中とは人生初めての経験であった。
イギリスの結婚というと、2種類の方式があるのだという。日本だと、神社での神殿式か、ブライダル場での教会式となるのだが、ここでは厳かな教会式と、簡単なレジスターオフィス(地方の結婚登録センター)式になる。教会での挙式となると、「神に永遠の誓いを...」などとかでお互いが誓い合うのだが、離婚率の多い今日では”誓い”が破られがちになっている傾向なため、わりとここ最近は簡単なレジスターオフィス式が持てはやされているようである。
現にこの間の知り合いの韓国人女性と英人男性の挙式も、そのレジスターオフィスで行われ、出席してきたのだが、実に簡単なものであった。まず、待ち合いルームに全員集合の後、新郎新婦の二人だけが隣部屋につれていかれる。衣装はもちろんタキシードにウェディングドレスである。数分すると、全員がその二人の部屋に移り、用意されたイスにつき、前のテーブルに座る登録官吏員と新郎新婦のやり取りを聞くわけである。そして、互いが調印所にサインが済み、互いの介添え人を交えての写真撮影になるのである。それが一連の流れであり、もしも挙式中に異議があればいつでも退散することも認められているのだという。日本のような挙式、披露宴のオンパレードとは打って変わるものである。
プロポーズの仕方も英国スタイルがあるのである。
”Would you married me?”これがプロポーズの言葉である。ところが、僕のうちで一緒にシェアをしていた韓国人の男の子は、それを全く知らずに、つきあっていた英人の同じ学校の先生にプロポーズしてしまった。しかも、韓国スタイルで(?)。場所は、リッチモンドの公園。川が流れそこに橋がかかっている所。夜空に浮かぶ満月が川に反射して二人を別の世界に導いているようである。そこで彼は彼女に伝えた。
「これからもずっと君と一緒にいて、いつも君の暖かいご飯を食べたい。」そして、彼は有頂天になって橋の上でゴスペルを歌って踊りだしたそうだ。数分たって、彼が振り向くと彼女の姿はどこにもなかった。慌てて彼は周りを探すと、彼女が一人100メートル先を泣きながら歩いているのを発見する。彼は慌てて、彼女のもとに行き、どうしたのか尋ねる。すると、そのプロポーズの意味が全く分らなかったのだという。聴いた僕もそれがプロポーズだと思わなかったが...。
さて、英国のプロポーズの仕方を彼女から彼は聞き、再び二人は、そのロマンチックな橋に戻る。そして雰囲気を造り、プロポーズする。”Could you married me?”二人の間に緊張の空間が張り詰める。そして、彼女の口から出たのは、「あのね、文法的にはね"Could you"じゃなくてね、"Would you"なのよ。だから...。」
彼の心に”ガーン”という音に流れる。(えぇ、そんな時まで先生にならなくていいのに...)それでも、お互い気を取り直して、大事なセリフを伝え、彼はようやく将来の伴侶を手に入れたのである。
二人は今、モロッコに3ヶ月の旅に出ている。これからも彼らに幸せが溢れることを祈りたい。それにしても、いろいろなスタイルの”結婚”はあるものである。何にせよ、幸せであるのが一番なのである。
